2021年ショパン・コンクール第2位のアレクサンダー・ガジェヴと、19年ロン=ティボー国際音楽コンクール優勝の三浦謙司。15年の浜松国際ピアノコンクール中に出会い、ベルリンで共に学んだ仲良しの二人によるピアノ・デュオという楽しみな企画が、都内でピアノを聴くには最適な会場の一つである紀尾井ホールで行われる。
テーマは「East meets West」—東洋と西洋の出会いと融合。連弾によるシューマン「東洋の絵」、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」、また2台ピアノによるチャイコフスキー「くるみ割り人形」とストラヴィンスキー「火の鳥」という華やかなプログラムだ。全く枠にとらわれない自由な感性を持つ者同士で弾くと一体どうなるのか、期待が膨らむ。どちらもその場で生み出される音楽を大切にするピアニストなので、おそらく本人たちもその時にならないとどうなるのかわからないのではないだろうか。
イタリアで生まれ育ち、父からロシア系のピアノ教育を受けたガジェヴ。日本に生まれドバイで育ち、イギリスとドイツでピアノ教育を受けた三浦。演奏には「東洋と西洋」というテーマにそれぞれが抱く想いも投影されることだろう。
二人が浜松で知り合ったときの様子は、気の合う友達を見つけて嬉しくて仕方ない少年同士という雰囲気だった。あれから10年近く経つが、おそらく変わらぬテンションで“ピアノで遊ぶ”様子を見せてくれることだろう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2025年1月号より)
アレクサンダー・ガジェヴ & 三浦謙司 ピアノデュオ・リサイタル
2025.3/19(水)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp
他公演
2025.3/22(土) 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)