徳永二男(宮崎国際音楽祭音楽監督/ヴァイオリン)

スターンの意欲と情熱は、 次世代に受け継がれています

©K.Miura

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 2015年、宮崎国際音楽祭は20回目という記念すべき年を迎える。改めて、第1回のプログラムを振り返ってみると、アイザック・スターンとイェフィム・ブロンフマンのデュオ・コンサート、スターンと日本人演奏家による協奏曲の夕べ、そしてヴァイオリン講習会など、現在の音楽祭に繋がる様々な魅力的なコンサートが並んでいる。先頃、東京で行われた記者会見で、音楽監督の徳永二男はアイザック・スターンとの思い出を次のように語った。
「日本人演奏家を集めたアンサンブルで、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番のリハーサルを行った時のことです。スターンが僕に近づいてきて『お前の耳は正しい』と言ってくれたのです。この事がまるで昨日のことのように鮮やかに思い出されます」
 スターンはその後ジュリアード弦楽四重奏団と室内楽の講習会を行うなど、様々な形で宮崎国際音楽祭に足跡を残した。
「そのスターンの意欲と情熱は次の世代に受け継がれています。2015年に登場するアーティストでいえば、ピンカス・ズーカーマンはスターンに見いだされ、その薫陶を受けたヴァイオリニスト。そのズーカーマンはジュリアン・ラクリンの先生でもある…という形で伝統が受け継がれていくのを、この音楽祭で目の当たりにすることができるのです」
 今年の音楽祭は4月29日のスペシャル・プログラム「ストリート演奏会」で幕を開ける。メインプログラムは5月5日の「エクスペリメンタル・コンサート」から。
「現代の作曲家に焦点を当てるこのコンサートでは、武満徹、三善晃、間宮芳生、芥川也寸志、野平一郎といった日本を代表する5人の作曲家の作品を取り上げます。これまではアンサンブルが中心の編成でしたが、今年は室内オーケストラを作り、武満徹の『ノスタルジア』などを演奏します」
 その後、ズーカーマン(5/13)や諏訪内晶子(5/14)を中心とした室内楽や、ズーカーマン指揮によるチャイコフスキーの交響曲第5番(5/16)、チェロのミッシャ・マイスキーが親子のトリオで出演する公演(5/6)、そして最後にはプッチーニ《トゥーランドット》を全幕、コンサート形式で演奏するというコンサート(5/17)などが控えている。
「オペラを取り上げる機会はなかなか無いので、第20回の祝祭的な雰囲気を盛り上げてくれるコンサートとなるでしょう。指揮は広上淳一さんにお願いしました」
 徳永自身は川南町で開催されるスペシャルプログラム『魅惑のタンゴ』(5/2)にも出演する。タンゴは若い頃から演奏していたという。
「実はタンゴ楽団でヴァイオリンを弾くアルバイトをしたことがあって、タンゴには昔から関心がありました。シャルル・デュトワがこの音楽祭の芸術監督だった時代に、このコンサートを始めたのです」
 そして20年目ということで注目されるのが、5月15日に行われる「ガラ・コンサート」。この音楽祭に関わって来たアーティストの総出演といった豪華なプログラミングだ。陽光きらめく宮崎に、また熱い音楽の時間が流れる。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)

第20回 宮崎国際音楽祭
4/29(水・祝)〜5/17(日)
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
問:宮崎国際音楽祭事務局0985-28-3208
http://www.miyazaki-ac.jp/mf