[小耳大耳]初音ミクも共演、冨田勲の新作交響曲初演

  世界的な作曲家である冨田勲の新作交響曲がビルボードジャパンと日本フィルの共同制作により、11月23日に東京オペラシティで初演されることが発表された。今年で80歳をむかえる冨田は、1974年にシンセサイザーによる「惑星」や「月の光」などのアルバムで世界的ヒットを飛ばし、日本人としては初のグラミー賞4部門にノミネートされた。以後、幅広いジャンルでの活躍ぶりは周知の通り。

 フル・オーケストラと大合唱のために書かれた新作は「イーハトーヴ」交響曲というタイトルで、文字通り宮沢賢治の世界がもととなっており、〈岩手山の大鷲〉〈猫のレストラン〉〈二百十日の夜〉〈ケンタウルス祭から南十字へ〉〈雨にも負けず〉〈岩手山の大鷲〉の全6楽章からなる大作だ。演奏は大友直人指揮の日本フィルハーモニー交響楽団。今回の大きな話題は、ヴァーチャルシンガーの「初音ミク」が演奏に“参加”すること。8月27日に行われた記者会見の席で冨田は次のように語った。

 「『イーハトーヴ』は子ども時代に感じた賢治の世界をイメージして作曲しました。初音ミクさんには、〈猫のレストラン〉(『注文の多い料理店』より)の部分にエンターテイナー的な要素が欲しいと思っていたので登場してもらうことにしました。主人公が部屋に閉じ込められるシーンなどに出演します」

 最新テクノロジーにより、指揮にあわせて初音ミクが歌い踊る映像は多くのファンの間で話題となるにちがいない。

 「シンセサイザーで音楽制作をする前、ラジオや映画のために大編成のオーケストラ用に曲も書いてきました。オーケストラも自分のインスピレーションを表現できる楽器です」と述べる冨田が宮沢賢治の世界観をいかに提示してくれるのかおおいに楽しみである。なお、この演奏会の模様は日本コロムビアによってライヴ収録され2013年1月にCDとしてリリースされる予定。

冨田勲新制作「イーハトーヴ」交響曲 世界初演
★11月23日(金・祝)14:30・東京オペラシティコンサートホール
出演/大友直人(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団 篠田元一(シンセサイザー)初音ミク(ヴォーカル) 他
●発売中
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 HP