INTERVIEW 丸山韶(ヴァイオリン)&島根朋史(チェロ) 古楽オーケストラが結成10周年記念盤リリース!

ラ・ムジカ・コッラーナ(左手前:丸山 韶 中央手前:島根朋史) photo by Studio LASP

 今年、古楽オーケストラ、ラ・ムジカ・コッラーナ(LMC)が結成10周年を記念して、初アルバムをリリースした。音楽監督の丸山韶(ヴァイオリン)、副音楽監督の島根朋史(チェロ)に話を訊いた。

 丸山が古楽器の魅力に開眼したのは、高校生の頃、家の近所に古楽器の製作家がいた。

 「そこで初めてバロック・ヴァイオリンを手にした時は感動しましたね。バロック音楽はモダン楽器で弾いてもピンと来なかったのですが、花が開いたように興味がわきました。それからホグウッドなどいろんな録音を聴き、いつか古楽器のオーケストラを作って活動したいと思うようになりました」

 高校在学中からバロック・アンサンブルを始め、京都市立芸術大学在学中も続けた。卒業後はモダンの仕事をしながら東京藝術大学の古楽科に通った。目的は仲間集め。チェロの島根とも出会え、2年生の年に藝大や桐朋学園の学生らに声をかけてオーケストラを結成。みなの気持ちが一つになるようにという願いとバロック音楽の装飾音をかけて、ネックレスを意味するイタリア語、“コッラーナ”を名前に添えた。以来、毎年定期演奏会を開催してきた。「仲間に恵まれた」と丸山は言う。

 アルバム収録曲はヴィヴァルディの「調和の霊感」の6番と9番、チェロ協奏曲、アルビノーニのシンフォニアなど、これまで定期公演で取り上げた曲から厳選した。指揮者なし、丸山がリハーサルで音楽を作る。そんな彼らの演奏は洗練されていて繊細かつ優美だ。

 「バロックは言葉を喋るように演奏するといいますが、ガット弦を上手くコントロールできれば、ことさら強調しなくても自然にそうなる。古楽器の魅力はそこにあります。僕らはお客さんが100人いても、100人が気づかないかもしれない細部の表現を大事にしたい。非和声音や不協和音にしてもいつも同じじゃない。たとえば、すれ違うように音どうしがぶつかることもある。すれ違う瞬間の『あれ、この人は…』という感覚。実はよく知っている人だったというような…」と丸山が言うと、島根が「丸山はいつもこのようなストーリーを提示してリハーサルするんですよ」。

 ヴィヴァルディとアルビノーニはほぼ同時期にヴェネツィアで活躍している。丸山が「ヴィヴァルディには華がありますね。人の感情をよく理解していたのでしょう。感情に訴えかけるのがうまい。それに楽器の扱いが巧み。劇的なところもありますが、柔らかな陰影が美しい。アルビノーニはヴィヴァルディのような派手さはないですが、すっと心に沁み込むようなところがあってそこが好きですね」と言い、島根が頷く。今後もバロックの他、フォルテピアノの川口成彦との古典派や、中心メンバーによる室内楽も定期的に行なっていきたいそうだ。
取材・文:那須田 務
(ぶらあぼ2024年11月号より)

Classical Concerto Series Vol.5
2025.1/8(水)14:30 19:00 台東区生涯学習センター ミレニアムホール
問:ラ・ムジカ・コッラーナ la.musica.collana@gmail.com
https://is.gd/Vxxb4b

CD『フィオリトゥーラ』
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9064
¥3080(税込)