フランス作品集にサティ。ショパン国際ピアノコンクールの優勝者というイメージから抜け出したいかのような選曲でブルース・リウの新譜は続く。今回はチャイコフスキー。12曲からなる「四季」をからっとした響きで、その技巧をさりげなく隠しながら、リラックスした落ち着きで弾いた。まるでアップライトのピアノで鳴らしたようなインティメートな瞬間も。主部を軽快でスマートに駆け抜け、中間部では一転してナイーヴな表情を開けっ広げに見せる。そうしたコントラストが計算尽くではなく、このピアニストの人となりが自然に表れているところがいい。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年11月号より)
【information】
CD『チャイコフスキー:四季/ブルース・リウ』
チャイコフスキー:四季、ロマンス
ブルース・リウ(ピアノ)
ユニバーサル ミュージック
UCCG-45102 ¥3300(税込)