Janusz Olejniczak 1952-2024
2025年10月のショパン国際ピアノコンクール審査員に予定されていたピアニスト、ヤノシュ・オレイニチャクが10月20日に亡くなったとポーランドの国内メディアが一斉に報じている。享年72。9月1日には、夏のワルシャワの恒例行事、「ショパンと彼のヨーロッパ」音楽祭にも出演し、室内オーケストラと協奏曲を演奏するなど元気な姿をみせていたが、それからわずか約50日での早すぎる死となった。
1952年、ポーランド西部ヴロツワフの生まれ。1970年、わずか18歳で第8回ショパン国際ピアノコンクールに入賞(第6位)。当時の最年少記録であった。その後、パリに留学し研鑽を積んだ。
一般に広くその名が知られるようになったのは、アカデミー賞を受賞したロマン・ポランスキ監督の映画『戦場のピアニスト』(2002年公開)の世界的大ヒット以降だろう。全編にわたりサウンドトラックを担当したほか、主人公ピアニストの手の演技も務めた。
19世紀のフォルテピアノにも造詣が深く、ショパンの作品を最も早くピリオド楽器で演奏したピアニストの一人でもある。ショパン研究所のレーベル(NIFC)では、フランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラと共演したショパンのピアノ協奏曲第2番のディスクのほか、マズルカ全集など、エラールで演奏した録音も多い。絶妙のルバート、繊細なフレージングなど、現代におけるショパンの最も優れた解釈者として名高いが、ポーランドの現代音楽の紹介にも熱意をもって取り組んでいたことも特筆される。
10月1日に発表された来年の第19回ショパン国際ピアノコンクールの審査員の顔ぶれ17名の中にも名を連ねていた。そのほか、ショパン国際ピリオド楽器コンクールをはじめとするコンクールの審査員やマスタークラスなどを通じて、また、ショパン音楽大学教授として後進の育成にも尽力した。
日本にもたびたび来日し、今年も11月に東京・栃木・福島などで公演が予定されていたが実現には至らず、2021年1月の公演が最後の来日となった。