シェフ待望、ドイツ・ピアニズムの系譜に連なる巨匠との共演が実現!
新シーズンの始まりとなる9月、日本フィルハーモニー交響楽団が、首席指揮者カーチュン・ウォンとともに、壮大なスケールを持つ二つの名曲を取り上げる。
まず、カーチュンが共演を切望していたという名手、ゲルハルト・オピッツをソリストに迎えて披露するのは、ブラームスのピアノ協奏曲第2番。オピッツはドイツで生まれ育ち、20世紀の巨匠、ヴィルヘルム・ケンプの教えを受けた、ドイツ・ピアノの正統派の流れをくむピアニストとして知られる。風格があり、確かな説得力とともに語りかけ、またあたたかく重厚な音色を持つ彼のピアノは、荘厳さと華やかさにあふれるブラームスの世界を存分に再現してくれるだろう。ドイツ音楽の真髄を探究し続けてたどりついたその音楽は、シンガポール生まれのカーチュン、そして日本フィルにも多くのインスピレーションを与えるに違いない。
そして後半で演奏されるのは、日本フィルがこれまで多くの名指揮者と共演してきた大切なレパートリーである、チャイコフスキーの交響曲第4番。堂々たるファンファーレに始まり、起伏に富んだ美しいドラマが展開するこの曲から、気鋭指揮者の細やかなタクトで、どんな新しい魅力が引き出されるのだろうか。首席指揮者として2シーズン目を迎え、より親密になったオーケストラとの関係にも注目したい。
生のオーケストラをコンサートホールで聴く醍醐味をたっぷり楽しめるうえ、伝統の継承も目の当たりにできる特別な演奏会に期待できそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2024年9月号より)
東京オペラシティ特別演奏会
2024.9/20(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第400回 横浜定期演奏会
9/21(土)17:00 横浜みなとみらいホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp