新国立劇場バレエが新作『トロイ・ゲーム』ほか3作品を上演、22日まで

 14日(土)から上演中の新国立劇場バレエの新制作『トリプル・ビル』。そこに一貫して流れるコンセプトは“音楽の視覚化”だ。

※写真は、13日(金)に行われたゲネプロから。『テーマとヴァリエーション』『ドゥエンデ』は、14日(土)14:00、21日(土・祝)14:00の、『トロイ・ゲーム』は14日(土)14:00、19日(木)19:00、21日(土)14:00のキャストによるものです。
(Photo:M.Terashi/tokyoMDE)

 冒頭の『テーマとヴァリエーション』は、チャイコフスキーの組曲第3番ト長調から、第4曲〈主題と変奏(テーマとヴァリエーション)〉 を全編に用い、20世紀アメリカを代表する振付家ジョージ・バランシンが1974年に振付した作品。新国立劇場では2000年に初演。
 バランシンは、バレエの基本的なテクニックを巧みに盛り込みながら、チャイコフスキーの主題とそれに基づく12の変奏曲それぞれの音楽がもつ雰囲気を“眼に見える形”へと昇華させた。
 なかでも、プリンシパル二人がヴァイオリン・ソロの独白とともに踊る第10変奏から第11変奏までのパ・ド・ドゥの息をのむほどの美しさと、第12変奏ポロネーズでの12組のペアによる絢爛豪華な舞は圧巻。
 オペラ《エフゲニー・オネーギン》、交響曲第4番を書き上げたチャイコフスキーが最も輝いていた時代、その後のバレエ音楽《眠れる森の美女》《くるみ割り人形》を先取りしたかのような音楽をまとった『テーマとヴァリエーション』は、ストーリーこそないもののグランド・バレエよりもわかりやすく、究極のバレエ・エッセンスとして、バレエをまだ観たことがない人にこそおすすめ。

 続く『ドゥエンデ DUENDE』は、スペインの振付家、ナチョ・ドゥアトがドビュッシーの音楽に振付した作品。新国立劇場バレエ団では、02年に初演、06年の「ナチョ・ドゥアトの世界」、08年ケネディセンターでの日本フェスティバルでも再演された。
 作品の構成は「パストラル(フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ第1楽章)」「シランクス(フルートのためのシランクス)」「フィナーレ(フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ第3楽章)」「神聖な舞曲と世俗の舞曲(ハープ独奏と弦楽合奏のための)」
 作品名の「ドゥエンデ」とは、スペイン語で「民家に住み、家中を荒らしたり大音響をとどろかせたりすると言われている想像上の精霊」。
 「私は森の神秘的な世界、空想上の生き物が棲んでいる世界を描きたかったのです」と語るドゥアトだが、ドビュッシーの神秘的な音楽に誘われ、観る者すべてが、いつしか不思議の森へと迷い込んでいる自分に気づくだろう。

 3作目は新制作となる『トロイ・ゲーム』。1974年ロンドン・コンテンポラリー・ダンス・シアター(LCDT)の設立メンバーの一人で、バレエ・ランベールほかの芸術監督を歴任したロバート・ノースの代表作。
 ブラジルの打楽器のみの構成によるサンバ「Batucada」を用いたボブ・ダウンズによる音楽にあわせて、男性ダンサーのみによって踊られる本作は、ダンスと言うよりもスポーツ!と言った方がよいかもしれない。
 新国立劇場バレエでは昨年、12年のロンドン五輪の開催を祝して作られたビントレー振付の『ファスター』を日本初演したが、それから遡ること40年余り前、これほどまでにスポーツとダンスをうまく融合した作品があったとは驚きだ。そこには古さはまったく感じられない。
 合気道とブラジルの格闘技カポエイラをミックスさせながら、随所に笑いやユーモアを交えたダンスに、客席からは自然と笑いがこぼれる。

■新制作『トリプル・ビル』
2015年3月14日(土)14:00、15日(日)14:00、19日(木)19:00、21日(土・祝)14:00、22日(日)14:00 中劇場

『テーマとヴァリエーション』
音楽:チャイコフスキー 
振付:ジョージ・バランシン
指揮:アレクセイ・バクラン
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

『ドゥエンデ』
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:クロード・ドビュッシー
装置:ウォルター・ノブ
衣裳:スーザン・ユンガー
照明:ニコラス・フィシュテル

『トロイ・ゲーム』
振付:ロバート・ノース
音楽:ボブ・ダウンズ
衣裳:ピーター・ファーマー


◆キャスト
●『テーマとヴァリエーション』
【3月14日(土)14:00、3月21日(土・祝)14:00】
小野絢子
福岡雄大
【3月15日(日)14:00、3月22日(日)14:00】
米沢唯
菅野英男
【3月19日(木)19:00】
長田佳世
奥村康祐

●『ドゥエンデ』
【3月14日(土)14:00、3月21日(土・祝)14:00】
 「パストラル」(パ・ド・トロワ)
 本島美和、米沢 唯、輪島拓也
 「シランクス」(パ・ド・ドゥ)
 五月女遥、八幡顕光
 「フィナーレ」(パ・ド・トロワ)
 福岡雄大、福田圭吾、池田武志
 「神聖な舞曲」(パ・ド・シス)
 奥田花純、八幡顕光
 寺田亜沙子、奥村康祐
 盆子原美奈、輪島拓也
 「世俗の舞曲」全員

【3月15日(日)14:00、3月19日(木)19:00、3月22日(日)14:00】
 「パストラル」(パ・ド・トロワ)
 本島美和、丸尾孝子、小口邦明
 「シランクス」(パ・ド・ドゥ)
 五月女遥、八幡顕光
 「フィナーレ」(パ・ド・トロワ)
 福岡雄大、福田圭吾、池田武志
 「神聖な舞曲」(パ・ド・シス)
 奥田花純、八幡顕光
 寺田亜沙子、宝満直也
 柴山紗帆、小口邦明
 「世俗の舞曲」全員

●『トロイ・ゲーム』
【3月14日(土)14:00、3月19日(木)19:00、3月21日(土・祝)14:00】
マイレン・トレウバエフ  八幡顕光  福田圭吾  小口邦明
原 健太  宝満直也  池田武志  福田紘也

【3月15日(日)14:00、3月22日(日)14:00】
井澤 駿  小柴富久修  清水裕三郎  中島駿野
林田翔平  宇賀大将  高橋一輝  八木 進

S席10,800円 A席8,640円 B席6,480円 C席4,320円 D席3,240円
問:03-5352-9999
新国立劇場バレエ http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/

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