Music Program TOKYO シャイニング・シリーズVol.15
東京文化会館チェンバーオーケストラ

音楽の殿堂から飛び立った腕利きたちが魅せる“クラシカル”プロ

左:野平一郎 ©YOKO SHIMAZAKI
右:依田真宣 ©大窪道治

 東京文化会館が贈るコンサート企画「シャイニング・シリーズ」は、実力派の若手から中堅までを起用したフレッシュな演奏が魅力だ。今年1月には東京文化会館チェンバーオーケストラを同館音楽監督の野平一郎が自ら指揮し話題を呼んだが、9月には早くもその第二弾が実現する。

 今回もまたコンマスの依田真宣を筆頭に30名が野平のタクトの下に結集するが、メンバーの多くが2003年より同館が主催する東京音楽コンクールの入賞者であることも特徴だ。依田も第4回の入賞者で現在は東京フィルのコンマスを務める出世頭だが、他にも一線で活躍する奏者を要所に配置しながら、最近の入賞者までを積極的に起用。若手の受賞後のキャリアを後押ししつつ、東京文化会館のトラディション・独自カラーも培っていこうという周到な戦略がうかがえる。

 プログラムには「古典」を隠れたテーマに置きつつ、チェンバーオーケストラにとって王道のレパートリーが選ばれた。モーツァルトのディヴェルティメント第17番は全6楽章、50分ほどの作品で、聴き手を典雅な世界へと導いてくれる。メヌエット(第3楽章)の旋律は誰もが知るポピュラーなもの。ストラヴィンスキーの協奏曲「ダンバートン・オークス」はバロックの合奏協奏曲のスタイルをモダンな要素で彩った心地よい作品。そこからさらに宮廷舞曲を範とした「亡き王女のためのパヴァーヌ」、フランス・バロックの大作曲家の名前を冠した「クープランの墓」というラヴェルの名作へとつなぐ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年7月号より)

2024.9/8(日)15:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
https://www.t-bunka.jp