大井剛史(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

注目の若手ピアニストとともに味わうフランス近代管弦楽の色彩

左:大井剛史 ©Ayane Shindo
右:佐川和冴 ©Tetsuya Okukawa

 多彩な企画力と音楽性で多くのファンをもつ新日本フィルハーモニー交響楽団が、あたらしいコンサートシリーズをスタートする。クラシック界の新星を発掘・紹介し、名曲とともに届ける「“新しい風”名曲コンサート」だ。これは 2023年10月に開催された同コンサートの好評を受けてシリーズ化が決定したもの。

 その記念すべき第1回のソリストを務めるのはピアニストの佐川和冴(かずさ)。東京音楽大学ならびに同大学院修士課程を首席で修了し、第90回日本音楽コンクールピアノ部門第2位をはじめ、第21回東京音楽コンクールピアノ部門第1位、第4回Shigeru Kawai国際ピアノコンクール第2位(日本人最高位)および聴衆賞など数多くの受賞歴を誇る。すでに、新日本フィルに東響、東京フィルなどオーケストラとの共演も数多く経験している注目のピアニストだ。バロックから近現代まで幅広いレパートリーをもち、超絶技巧の作品も鮮やかに弾きこなす強靭なテクニックに、音量と音色の豊かさ、スケールの大きな音楽づくりが魅力だ。最近は古典派の作品の演奏に力を入れ、表現力にますます磨きをかけている彼が今回演奏するのは、ラヴェルのピアノ協奏曲。佐川の華麗なピアニズムと美音を存分に味わうことができる楽曲である。指揮はオペラやバレエも得意とする大井剛史がつとめ、ビゼーの「アルルの女」第1・第2組曲やラヴェルの「ボレロ」も奏される。フランスの風を感じられる魅力的なプログラムだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2024年7月号より)

特別演奏会 “新しい風”名曲コンサート vol.1
2024.7/20(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp