日本を代表する名手が、20世紀に作曲されたギターの名作を収録したアルバム。「讃歌」と付された作品が並ぶ内容は、パガニーニ、シューベルト、ショパン、ボッケリーニへのオマージュであると同時に、被献呈者である巨匠セゴビアへのオマージュにもなっており、さらにアルバム自体は福田の恩師ギリアに捧げられている。演奏自体も、こうした先人へのリスペクトを反映した細心かつ堂々たるもの。存分にテクニカルながらも雄弁な名奏の数々は、主軸のテデスコ作品をはじめ、どれも聴き応え十分で、ギターの世界内にとどまらない“音楽の魅力”に富んでいる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年7月号より)
【information】
CD『悪魔の奇想曲/福田進一』
M.カステルヌオーヴォ=テデスコ:悪魔の奇想曲〜パガニーニ讃歌、ソナタ〜ボッケリーニ讃歌、セゴビアの名によるトナディーリャ/ポンセ:ソナタ・ロマンティカ〜シューベルト讃歌/タンスマン:バラード〜ショパン讃歌/ルーセル:セゴビア
福田進一(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4530 ¥3520(税込)