ドイツと日本を結ぶ新鋭チェリスト
これからの“時代を響かせる若手演奏家”にスポットをあてる、めぐろパーシモンホールの「未来の音シリーズ」。その第12弾に、ドイツ人ヴァイオリニストの父と日本人ピアニストの母の豊かな感性を受け継ぎ、しなやかな技巧と美しい音色で「ドイツと日本、両国を結ぶチェロ界期待の新鋭」と目されているマーク・シューマンが登場する。
シューマンは1988年、ケルン生まれ。7歳にして全ドイツ学生音楽コンクール、11歳の時にはオーストリアのチェロ・ジュニア国際コンクールで優勝し、オーケストラとサン=サーンスの協奏曲で共演。2006年にはケルン国営放送主催のコンクールで優勝し、翌07年にはスロヴァキア・フィルの来日ツアーのソリストとして、わが国に初お目見えした。同年にはヴァイオリニストの兄エリックらと共に「シューマン・カルテット」を結成。難関として知られるボルドー国際弦楽四重奏コンクールを制するなど、室内楽の分野でも注目されている。
ステージでは、まず“チェリストの聖書”とも呼ばれる大バッハの無伴奏組曲から、第6番を披露。そして、国際的に活躍するピアノの名手・干野宜大(ほしの・たかひろ)の共演を得て、ソナタ第3番と「ヘンデル『ユダ・マカベウス』の『見よ勇者は帰る』の主題による12の変奏曲」と、ベートーヴェンの手になる2つのチェロのための佳品をメインに。ここへ、シューマンの「幻想小曲集」(作品73)を添えた。シューマンが操るチェロは、1710年製作の「カルロ・ジュゼッペ・テストーレ」。俊英によって翼を得た銘器は、壮大な響きの宇宙を駆け巡る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
2/21(土)15:00 めぐろパーシモンホール(小)
問:めぐろパーシモンホール03-5701-2904
コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.persimmon.or.jp