ユリアン・シュテッケル 無伴奏バッハ・チェロ・リサイタル

ドイツの実力派チェリストが“聖典”3曲で魅せる

©Marco Borggreve

 1982年、ドイツ生まれ。数々の国際的コンクールで入賞を重ね、2010年にミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で優勝したユリアン・シュテッケルが、トッパンホールで待望の無伴奏のリサイタルを開く。ボリス・ペルガメンシコフ、ハインリヒ・シフなどに師事、そしてアンティエ・ヴァイトハースからも薫陶を受けながら共演を重ねるなど、実力派として注目のチェリストである。これまでも、ヨーロッパの一流オーケストラはもちろんのこと、室内楽でもテツラフ、エーベルレ、タメスティ、レオンスカヤ、エベーヌ弦楽四重奏団らと共演し、多彩な活動歴を誇っている。現在はミュンヘン音楽演劇大学教授である。また録音にも積極的で、20世紀に書かれたチェロ協奏曲集、ヴァイトハースらと共演したコダーイの作品集など、注目盤を次々とリリースしている。

 今回のリサイタルではJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲から第3、第4、第6番の3曲を演奏する。20世紀の作品や室内楽の演奏で冴えを見せているシュテッケルだが、C.P.E.バッハのチェロ協奏曲にも取り組むなど、幅広い関心を持つチェリストであることが興味深い。様々な演奏体験のなかから獲得した視点で、チェリストにとっての原点とも言うべきバッハの無伴奏をどう見るのか、そして私たちにそれをどう伝えてくれるか。現在のヨーロッパで生きるアーティストの「古典」への接し方にも注目して聴きたいコンサートである。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年5月号より)

2024.7/5(金)19:00 トッパンホール 
4/22(月)発売
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
http://www.pacific-concert.co.jp