ボーダーレスに活躍するデュオの“驚演”がふたたび!
「違う、コガクじゃない」—柴田俊幸とアンソニー・ロマニウクのデュオ・リサイタル、刺激的なタイトルだ。「コガク」は「古楽」だが、「古典派以前の音楽」「古楽演奏」の限定的な印象をカタカナ表記で軽く皮肉り、超えてゆく意志を示す。
何しろ中世からダウランド、バッハ、リゲティ、チック・コリア等々を駆け抜ける内容だ。2人の楽器はフラウト・トラヴェルソと(主に)チェンバロという「バロック時代のピリオド楽器」だが、そこに限定せず幅広い時代の音楽を演奏し、それぞれから未知の表情を引き出す。ロマニウクに至っては複数の鍵盤楽器を駆使、エレクトリック・ピアノでそれ以前の音楽を弾いたりもする。2人の時代様式への対応力と即興演奏の力が、異なる時代の音楽同士を架橋し、「新しい音楽」を創り出すのだ。すでにバッハの共演ディスクがあり、2022年「東京・春・音楽祭」で伝説的な共演を披露している2人の、さらに進化/深化した「ビヨンド・コガク」に期待しよう!
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年5月号より)
2024.5/2(木)19:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
https://www.tvumd.com