オーボエとファゴット、すなわちダブルリードを用いる木管楽器のための協奏曲が当該盤のメインである。青山聖樹、ダーク・イェンセンという第一級のソリストを迎えたことにより、R. シュトラウス、ウェーバーの協奏曲の魅力のみならず、各独奏楽器の可能性についても改めて開眼させられる。引き締まり清透な音色の青山のオーボエ、驚くほど変幻自在なイェンセンのファゴットはいずれも卓越した演奏。一方、本来社交音楽であるモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」も結晶度の高いアンサンブルをバックに、トップ奏者による遊びを交えた高度な音楽的対話にまで昇華されている。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2024年4月号より)
【information】
SACD『アンサンブル of トウキョウ ライヴ 2023 秋』
モーツァルト:セレナーデ ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」/R.シュトラウス:オーボエ協奏曲/ウェーバー:ファゴット協奏曲
アンサンブル of トウキョウ
青山聖樹(オーボエ) ダーク・イェンセン(ファゴット) 玉井菜採 戸原直(以上ヴァイオリン) 大野かおる(ヴィオラ) 渡邉玲雄(コントラバス)
収録:2023年10月、紀尾井ホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00842 ¥3850(税込)