かつてハノーファー国際コンクールを史上最年少で制し、最近は風格ある演奏を聴かせてくれる三浦文彰。そして、ロマンティシズムほとばしるベテランの清水和音。国内トップ奏者によるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲録音だ。ヴィオラを思わせる柔らかでハスキーな音で始まる第1番。そこに絡むピアノが繊細な表情をきらめかせて強い印象を残す。第2番は、艶やかさに加え、アンサンブルもぐんと濃密に。そして、第3番では、両者の組み立てのうまさが光る。音色や強弱を丁寧にコントロールし表情を変化させ、起伏豊かで、スケール感あるブラームスに仕上がった。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年4月号より)
【information】
CD『ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集 /三浦文彰&清水和音』
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番
三浦文彰(ヴァイオリン)
清水和音(ピアノ)
エイベックス・クラシックス
AVCL-84157 ¥3300(税込)