“日本の”ベートーヴェンをお聴かせします!
ドイツ・バイエルン州のレーゲンスブルク歌劇場で音楽総監督を務める阪哲朗が、久々に東京フィルの指揮台に立つ。ベルリン・コーミッシェ・オーパー専属指揮者、アイゼナハ歌劇場音楽総監督などを歴任し、2009年に現職に就いた阪哲朗だが、東京でその指揮を聴く機会は決して多くはない。ヨーロッパの歌劇場で着実に実績を積みあげてきた実力者が、どんな音楽を東京フィルから引き出してくれるのか、大いに注目される。
1月のサントリー&東京オペラシティ定期ではドヴォルザークのチェロ協奏曲とベートーヴェンの交響曲第7番を指揮する。ドヴォルザークでソロを務めるのは大御所、堤剛。大ベテランに対しても、阪はただ合わせるだけの音楽作りをするつもりはないようだ。「ソリストに従うだけの指揮は、どうしても演奏のスケールが小さくなる。音楽上でソリストと指揮者がガンとぶつかることで生まれる摩擦熱が大切」と語る。
オーチャード定期では、仲道郁代をソリストに迎えてシューマンのピアノ協奏曲と、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」が演奏される。一年の大半をドイツで過ごす阪によれば「ドイツと日本では雨の降り方が違う。同じ曲であってもその土地の気候や国民性によって表現はがらりと変わるもの。今回は日本人の指揮者が振って日本人の演奏家が奏でる日本のベートーヴェンになる」という。日本の田園風景、日本の雨と嵐が感じられるだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
第856回 サントリー定期シリーズ
2015.1/13(火)19:00 サントリーホール
第90回 東京オペラシティ定期シリーズ
2015.1/14(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第857回 オーチャード定期演奏会
2015.1/18(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522