セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

名匠の「パストラーレ」と巧者によるコンチェルトで充実の午後のひとときを

左:セバスティアン・ヴァイグレ ©読響
右:ダニエル・オッテンザマー ©Andrej Grilc

 読売日本交響楽団の常任指揮者であり、現代ドイツを代表するマエストロの一人であるセバスティアン・ヴァイグレが同楽団の土曜と日曜のマチネーシリーズで得意のドイツ音楽によるプログラムを披露する。まずは、ウィーン・フィル(の前身である宮廷歌劇場管弦楽団のメンバーによるフィルハーモニッシェ・アカデミー)の創設者として知られる、作曲家であり指揮者でもあったオットー・ニコライの代表作である歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》から序曲。そして、ウィーン・フィル首席クラリネット奏者であるダニエル・オッテンザマーを迎えてのウェーバーのクラリネット協奏曲第2番。父親でやはりウィーン・フィル首席クラリネット奏者であったエルンスト・オッテンザマーからウィーンの伝統を受け継ぐダニエルの妙技が楽しみである。ちなみに彼の弟であるアンドレアス・オッテンザマーはベルリン・フィルの首席クラリネット奏者を務めている。

 最後は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。ベートーヴェンは、ウィーン郊外を散歩し、その自然に親しむことによって、この交響曲のインスピレーションを得た。ヴァイグレはホルンの名手であり、この牧歌的な交響曲を見事に再現してくれるに違いない。また、新しい世代の名手の加入によって魅力を増した読響の木管陣の活躍にも注目である。全体を通して、ドイツ出身の作曲家の作品による、ウィーンにちなんだコンサートともいえるであろう。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年1月号より)

第263回 土曜マチネーシリーズ 
2024.1/20(土)
第263回 日曜マチネーシリーズ 
2024.1/21(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp