森山未來主演『プルートゥ PLUTO』がまもなく開幕

 2015年1月9日(金)、Bunkamuraシアターコクーンで開幕する『プルートゥ PLUTO』。12月某日の稽古はダンスシーンから始まった。7枚のパネルが繋がって1枚の壁を形成し、その後ろからダンサーたちが放射状に飛び出して踊り出す。続いて、アトム役の森山未來が現れ、ダンサーらの合間を縫うように進んでいく。スピーディーに同時多発的に展開するこれらのダンスは、一つ間違えば、衝突したり流れを損なったりしかねない。演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイや振付助手を務めるジェイソン・キッテルバーガーの指導の下、迫力を保ちながらもぶつからず、かつ効果的に見えるよう、試行錯誤が続いた。森山やダンサーたちからも様々な質問や意見が出て、稽古場は活気に満ちた雰囲気。回を追う毎に、動きの精度やダイナミズムがぐんぐん増していったのも印象深い。
 
 ダンス稽古後は、劇の冒頭からのラン・スルーが行われた。アトム役の森山のほか、ゲジヒト役を寺脇康文、ウランとゲジヒトの妻・ヘレナの2役を永作博美、天馬博士役を柄本明、アブラー役を松重豊、お茶の水博士役を吉見一豊が個性的に演じる中、さきほどまで踊っていたダンサーの面々が果たす役割も面白い。パネルの転換を担ったかと思えば、雨の中を急ぐ群衆にもなり、はたまた、俳優が捨てる空き缶のゴミ箱にもなる。ダンサーとパネルだけで、情景が次々に移り変わるさまはマジカルだ。さらに注目すべきは、アトムやゲジヒトやヘレナといったロボットの周囲で、ダンサーたちが文楽の人形遣いのような動きを展開していたこと。筆者がかつてラルビに取材した際、「未来へ進みたいなら過去にさかのぼる必要がある。だから伝統芸能に興味がある」「様々なダンスを学ぶと同時に、あらゆる表現からヒエラルキーを断ち切り、同等に扱って自分自身の表現にしたい」と語っていたことを思い出した。

 モロッコ系ベルギー人のラルビが、日本の漫画を原作に、伝統芸能を含む様々な動きに想を得ながら、独自に構築している『プルートゥ』。果たして、このスリリングな舞台の最終形は、どのようなものになるのだろうか?
(取材・文:高橋彩子 Photo:(C)小林由恵)

(C)小林由恵
(C)小林由恵
形もサイズも異なる7枚の白いパネルは、今回の舞台の特長の一つ。つなげることで壁になったり、積み上げられて階段になったり、テーブルや椅子になったり……と、まさに変幻自在だ

(C)小林由恵
(C)小林由恵
ダンサーたちは、三人で1体の人形を操作する文楽の人形遣いによく似たフォルムで、ロボットを取り囲む。写真中央に立っているのは、演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ

(C)小林由恵
(C)小林由恵
ダンスに芝居にと大活躍の森山未來。壁を背に、崩れ落ちるように座り込み、瞬時に身体を半回転させたり、一点倒立をしたり・・・。しなやかさと強靭さを併せ持った動きで魅せる

◆『プルートゥ PLUTO』
http://www.pluto-stage.jp

●東京公演
2015年1月9日(金)〜2月1日(日) Bunkamuraシアターコクーン
S¥10,500 A¥8,000 コクーンシート¥6,000 (全席指定・税込)
問:Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999

●大阪公演
2015年2月6日(金)〜11日(水・祝) 森ノ宮ピロティホール
¥10,000 (全席指定・税込)
問:キョードーインフォメーション06-7732-8888