高橋アキ ピアノドラマティック Vol.10

自らの世界観をストレートに表現

 高橋アキが2002年より開催している『ピアノドラマティック』が今年で10回目を迎える。新作初演を数知れず手掛けてきた経験を生かし、普通の演奏会では取り上げられないような大作も含め、彼女はここで自らの世界観をストレートに表現してきた。今回も重厚な構成と、とんがった選曲で迫ってくる。まずはシューベルトのソナタ第18番。シリーズの中で高橋はシューベルトに深く傾倒していった。これはその成果を試すもの。続く3曲は1980年までに相次いで書かれた作品。シェルシ「アデュー」、クセナキス「ミスツ」、武満徹「閉じた眼」、それぞれの作曲家の最も脂ののった時期の作品であるが、高橋にとっては古き戦友を偲ぶようなものかもしれない。そして現在。ダンジョリーニの「フィナーレ」は音の数を限定しつつ倍音で豊かな響きを得るというもので、2年前に彼女が初演した。高橋とのコラボレーションも多いガーランドは、今回のために新作を用意しているという。挑戦はまさに現在進行形なのだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

12/20(土)18:00 東京文化会館(小)
問:デュオジャパン03-5428-0571 
http://www.duojapan.com