第540回日経ミューズサロン フィルハーモニックトリオ・ウィーン with 三輪 郁

ウィーン伝統の音色に浸る贅沢な一夜

左:フィルハーモニックトリオ・ウィーン
右:三輪 郁 (c)小島竜生

 ウィーン・フィルのコンサートマスターを長く務めるフォルクハルト・シュトイデ。同楽団メンバーとともにシュトイデ弦楽四重奏団としても活動しているが、今秋はそのうち3人、彼とエルマー・ランダラー(ヴィオラ)とヴォルフガング・ヘルテル(チェロ)による、新たな「フィルハーモニックトリオ・ウィーン」として演奏会を開く。本公演ではさらに、ウィーンとゆかりの深い日本人ピアニスト、三輪郁も共演する。ウィーン国立音楽大学および同大学院に学んだ三輪は、シュトイデとも長年デュオを組んでおり、同地の音色を知悉する名匠だ。

 プログラムが独特で、まずトリオの3人それぞれが三輪のピアノとデュオ曲を聴かせる。特にシュトイデのソロによる《ばらの騎士》のメロディは注目。その後は、トリオによるシューベルトの弦楽三重奏曲第1番、そして三輪も加わってモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番という、ウィーンの大作曲家たちの名作が奏でられる。ウィーンの音を愛する人は聴き逃がすわけにはいかない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年11月号より)

2023.11/21(火)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp