「フロレスタン・トリオ」のゴルトベルク変奏曲

熟練の名手が新たな編曲で挑むバッハの最高峰

津留崎直紀

 バロック時代の巨匠J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は20世紀初頭からのバロック音楽復興の流れのなかでも、最も多様な形で再演されてきた作品だろう。もちろんオリジナルのチェンバロでの演奏もあり、グールドに代表されるモダン・ピアノでの挑戦、そして実に様々な編成、リコーダー・アンサンブルから管弦楽版に至るまでの再演があった。

 モダン、バロック奏法ともに探究を続け、作編曲でも活躍するチェリスト・津留崎直紀は新たな「弦楽三重奏版」の編曲を作り、夫人の津留崎晴代(ヴァイオリン)、上野なち子(ヴィオラ)とともにこの大作に挑む。「チェンバロの技巧を駆使したチャレンジングな原曲ならば、こちらもチャレンジングで技巧的に」と津留崎。「より有機的で、立体的な」ゴルトベルクを目指すという。その挑戦は1時間半にわたる全曲演奏。変奏曲の技法を駆使した傑作が3本の弦楽器で新しい姿を現す。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年11月号より)

2023.11/22(水)19:00 ルーテル市ヶ谷ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
https://www.proarte.jp

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