王道プロで若き実力派の意欲に触れる
魅力あふれる未来の巨匠たちに、リサイタルを通して大きく羽ばたいていってほしいという願いが込められた「紀尾井 明日への扉」シリーズ。その第37回には、女性奏者4人(山田香子、二村裕美、渡部咲耶、石崎美雨)によるタレイア・クァルテットが登場する。結成は2014年で、東京藝術大学在学中のこと。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール2015で第3位を獲得。第4回宗次ホール弦楽四重奏コンクールで第1位など、実力の高さを証明してきた。
2016年に「Lake District Summer Music」でイギリス・デビューを飾り、17年には同じくイギリスで開催された「Chilingirian Quartet Summer Course」に参加した。NHK「ららら♪クラシック」などのテレビ出演もしており、NHKBS「クラシック倶楽部」ではハイドンとライヒの作品を演奏。サントリーホール室内楽アカデミー第5期フェローメンバーとしても研鑽を積んだ。
今回の「紀尾井 明日への扉」ではベートーヴェンの「セリオーソ」、メンデルスゾーンの第1番、シューベルトの「死と乙女」という弦楽四重奏のレパートリーの中でも中心的な作品を演奏する。このコンサートへ向けたタレイア・クァルテットの意欲が感じられる。
どの楽器でもソリストには光があたるが、アンサンブルを中心としたグループ、特に弦楽四重奏団にはまだまだ注目が集まっていないと感じる。しかし、タレイア・クァルテットをはじめ、多くの有望な団体が存在している。彼女たちの演奏を通して、日本のクァルテットの実力を知ろう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年10月号より)
2023.12/13(水)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp