クロエ・デュフレーヌ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

フランスの誇る注目の指揮者が満を持して日本デビュー

 東京五輪の閉会式で、次に開催されるパリ五輪を紹介する映像が流れた。そこではフランス国立管弦楽団が「ラ・マルセイエーズ」をスタイリッシュに奏でていた。そのときの指揮者がクロエ・デュフレーヌだ。2021年にブザンソン国際指揮者コンクールで最高位に輝いたフランスの誇る若手。ヘルシンキのシベリウス・アカデミーに留学し、多くの名指揮者を輩出しているヨルマ・パヌラのもとで学んだ経験をもつ。2022/23シーズンはグスターボ・ドゥダメルのアシスタントを務め、現在はさらに活躍の場を広げている。

 そのデュフレーヌが初めて来日し、東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場する。プログラムはオール・フランス音楽だ。1曲目は、生誕130年を迎えるリリ・ブーランジェの「春の朝に」。24歳で早世した女性作曲家が死の間際に書いた色彩感あふれる小品を指揮して、日本での最初の一歩を踏み出す。続いて、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、そしてベルリオーズの幻想交響曲が演奏される。颯爽としたテンポ設定と、内声部の動きをクローズアップする彼女のスタイルは、このベルリオーズの代表作でより輝くに違いない。

 ヴァイオリン協奏曲のソリストは中野りな。史上最年少となる17歳で、2022年仙台国際音楽コンクール第1位を獲得したばかりの俊英だ。熟達した作風で知られる協奏曲を若いソリストと指揮者がどう作り上げていくのかも楽しみだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年10月号より)

第157回 東京オペラシティ定期シリーズ
2023.10/18(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第990回 サントリー定期シリーズ
10/19(木)19:00 サントリーホール
第991回 オーチャード定期演奏会
10/22(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
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