In memoriam 西村朗

Akira Nishimura 1953-2023

 作曲家の西村朗氏が9月7日、右上顎癌のため亡くなった。享年69歳。

西村 朗 (c) Tokyo Opera City Cultural Foundation 3


 1953年大阪生まれ。東京藝術大学および同大学院に学び、矢代秋雄、野田暉行に師事。西洋の現代作曲技法を学ぶ一方で、在学中よりインドネシアやインドなどのアジアの伝統音楽やそこに根づく思想、仏教やヒンドゥー教などの宗教、美学等に強い関心を抱き、そこから導かれた「ヘテロフォニー」のコンセプトに基づいて、「2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー」をはじめ数多くの作品を発表した。エリザベート国際音楽コンクール作曲部門大賞(1977年)、計6回の尾高賞(88・92・93・08・11・22年)など国内外の権威ある賞を多数受賞。その創作活動は近年においても一向に衰えず、2019年には新国立劇場委嘱の新作オペラ《紫苑物語》(台本:佐々木幹郎)を作曲、海外のメディアでも報道されるなど世界的な反響を呼んだ。

 2000年よりいずみシンフォニエッタ大阪の音楽監督、10年より草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルの音楽監督を務め、東京音楽大学では教授として長年にわたり後進の指導にあたるなど、作曲以外の領域でも多大な功績をのこした。また、NHK-Eテレ『N響アワー』の司会(09~12年)やNHK-FM『現代の音楽』の解説(03~09年、15年~現在)を担当、軽妙かつウィットに富んだトークで多くの視聴者を魅了した。
 2013年紫綬褒章受章。