オスモ・ヴァンスカ(指揮) 東京都交響楽団

至極のシベリウス・後期交響曲で待望の初共演!

オスモ・ヴァンスカ (c)Joel Larson

 フィンランドの名匠、オスモ・ヴァンスカが東京都交響楽団の定期演奏会に登場する。これまでにもくりかえし来日して名演を披露してくれたヴァンスカだが、両者の共演は今回が初めて。コロナ禍により二度にわたって公演がキャンセルになってしまったため、これが三度目の正直ということになる。

 ヴァンスカの名が日本で広く知れわたったのはラハティ交響楽団との大躍進がきっかけだろう。フィンランドの地方オーケストラを国際的な水準へと引き上げると同時に、楽団のローカル色を生かしたシベリウスの演奏で一世を風靡した。以後、ヴァンスカは国際的に活躍の場を広げ、とりわけ2000年代よりミネソタ管弦楽団音楽監督に就任すると、このアメリカのオーケストラの一時代を築いた。同楽団で19年にもわたって音楽監督を務めたことは、いかにオーケストラからヴァンスカへの信頼が厚いかを物語っている。

 今回、都響との初共演にあたって組まれたのは、シベリウスの交響曲第5番、同第6番、同第7番というプログラム。やはりヴァンスカといえば、なんといってもシベリウスだ。これぞファンがもっとも聴きたいプログラムではないだろうか。シベリウスの到達点ともいうべき後期交響曲集であり、また各曲それぞれに異なる性格を持った名曲でもある。ヒロイックで輝かしい第5番、清澄で詩情豊かな第6番、荘厳で内省的な第7番。そのすべてにおいて、ヴァンスカは都響とともにシベリウスの核心へと迫る。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年9月号より)

第985回 定期演奏会Aシリーズ 
2023.10/30(月)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp