小松亮太 タンゴ・アンサンブル
~アルゼンチン・タンゴとヨーロピアン・タンゴの饗宴~

信頼する仲間たちとおくる珠玉のスタンダード・ナンバー

 今年メジャー・デビュー25周年を迎えたバンドネオン奏者の小松亮太。タンゴという“マイナーな”音楽を正しく理解してもらうべく、幅広い時代や系統のタンゴを、ジャンルを超えた第一級のミュージシャンたちと、最高の編曲と演奏で紹介してきた。タンゴの代名詞ともなったアストル・ピアソラの作品から、知られざる部分を積極的に取り上げ、さらに世間的にはピアソラの陰に隠れながら優れたタンゴを作り上げてきた人たちの存在をも浮かび上がらせることに力を注いできた小松は、デビュー10周年を過ぎ、それまで封印してきたタンゴ史を飾るスタンダードの数々に改めて挑戦した。

 表現の“質”に徹底的にこだわったその成果は2009年のアルバム『碧空〜昭和タンゴ・プレイバック』と翌年の『小さな喫茶店〜東京タンゴ・カフェ』にみられたが、今回のステージではその世界が久々に再現される。アルゼンチンやウルグアイの名曲だけでなく、20世紀前半のヨーロッパ製タンゴが、よくあるイージー・リスニング風の安易な演奏ではなく、リズムやアンサンブルの考え抜かれた高度な編曲で生まれ変わる様子が体験できる絶好の機会だ。

 メンバーも豪華で、もう一人のバンドネオンに幅広く活躍中の北村聡、小松楽団には欠かせないヴァイオリンの近藤久美子のほか、ヴィオラの吉田有紀子、チェロの松本卓以あたりはクラシック界でもお馴染みだし、鍵盤打楽器の小林照未もアンサンブルに色を添えてくれるだろう。
文:斎藤充正
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.10/8(日)16:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 
https://www.persimmon.or.jp