“日本のホーム”で、世界最高峰の“熟成”と“驚き”を味わう
ハーゲン・クァルテットがトッパンホールに帰ってくる。彼らは、1981年以来40年余りにわたって第一線で活躍している世界のトップ弦楽四重奏団。トッパンホールでは、意義深いプロジェクトを次々に敢行しながら、記念日の公演や記念シーズンの幕明けを飾ってきた。いわば彼らは“ホールの柱”であり、自らも“日本のホーム”と呼んでいる、そこで行われるのが、今回の「ハーゲン プロジェクト 2023」全3夜。2021年の中止を挟んで4年ぶりに実現する、まさに待望のコンサートだ。
プログラムは、各日に大看板のモーツァルトとベートーヴェンの名作が置かれ、彼らが今「トッパンホールの聴衆と共有したい」と考えたラヴェル、ドビュッシー、ウェーベルンの作品が1曲ずつ加わる、彩り豊かな内容。モーツァルトは「ハイドン・セット」以降の円熟作、ベートーヴェンは、中期の「セリオーソ」「ラズモフスキー第2番」と後期の第13番&「大フーガ」が並ぶので、実に密度が濃い。両大家の作品では彼らの円熟味、未知に近いラヴェル等の3曲では新鮮な感銘が当然期待される。
弦楽四重奏は緻密な積み重ねを要する形態だ。従って40年余の熟成を聴くだけでも十分価値がある。だが決して1ヵ所に立ち止まらないハーゲンQは、オーストリアと兄弟姉妹という出自に根ざしたインティメートな温かさ、しなやかで息の合ったアンサンブルをベースに、予測を超えたアプローチや自在性、余情を刻々と加えてきた。つまり毎回感動とともに“驚き”がある。その“世界最高峰の生きた感触”を求めて、今回ぜひとも足を運びたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年9月号より)
【第1夜】2023.10/31(火)
【第2夜】11/1(水)(完売)
【第3夜】11/2(木)
各日19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
https://www.toppanhall.com
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。