第4回 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクールでニコラス・ジャコメリが優勝

佐川和冴が第2位、聴衆賞も受賞

 7月29日からおこなわれていた第4回 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール(審査委員長:植田克己)は、ファイナルの審査が8月4日、渋谷区総合文化センター大和田さくらホールで実施され、6名のファイナリストが課題のピアノ協奏曲(2台ピアノ版)を演奏した。第1位はイタリアのニコラス・ジャコメリ。日本から参加の佐川和冴は、中国のガオ・ミャオとともに第2位入賞を果たした。

表彰式より ©BRAVO

最終結果
第1位 ニコラス・ジャコメリ Nicolas GIACOMELLI(イタリア) 24歳
第2位 ガオ・ミャオ Miao GAO(中国) 24歳/佐川和冴 Kazusa SAGAWA(日本) 24歳
第3位 該当者なし
第4位 キム・ジヨン Jiyoung KIM(韓国) 27歳
第5位 竹田理琴乃 Rikono TAKEDA(日本) 29歳
第6位 今井理子 Riko IMAI(日本) 22歳

 同コンクールは、河合楽器製作所の創立90周年を記念して2017年にスタートし、毎年開催されていたが、パンデミックの影響により、延期を余儀なくされた。4年ぶりの開催となった今回の出場者たちも、予備予選のセレクションから一年の延期を経て、ようやく本大会への参加が実現した。1次予選から全審査にShigeru Kawai グランドピアノが使用されることに加え、ファイナルの課題曲が「2台ピアノによるピアノ協奏曲」というユニークさも大きな特徴。著名な国際コンクールの公式ピアノとして高い評価を得ているフルコンサートピアノ”SK-EX”が2台ステージ上に並び、オーケストラパートは、日本でもマスタークラスをたびたびおこなっているモスクワ音楽院の教授、アンドレイ・ピサレフとパヴェル・ネルセシヤン両氏が務めた。

Nicolas GIACOMELLI

 第1位のニコラス・ジャコメリは、1998年生まれ、ボローニャ出身の24歳。イモラ国際ピアノアカデミーで2022年までレオニード・マルガリウスに師事し、パリ国立高等音楽院ではミシェル・ダルベルトとフランク・ブラレイのもと学んでいる。昨年秋の「Shigeru Kawai ピアノコンクール イタリア-スペイン」を制したのに続き、今回も優勝を果たした。ファイナルでは、共演のピサレフともコミュニケーションを取りつつ、強靭なタッチによるダイナミックな表現、緩徐楽章での繊細さなど、起伏に富んだチャイコフスキーのピアノ協奏曲を熱演し、聴衆を魅了した。

Kazusa SAGAWA

 第2位に入賞した佐川和冴は、1998年埼玉県生まれ。東京音楽大学大学院修了。2021年の日本音楽コンクール第2位入賞などで注目を集める若手ピアニストの一人。ファイナルでは、「自身の音楽性がストレートに出せる作品」として、あえてテクニカルな側面が前面に出ないベートーヴェンの第4番を選択するなど、予選も含めプログラミングにこだわりを見せた。一つひとつの旋律を慈しむように演奏する弾きっぷりも印象的で、ファイナルでは冒頭主題の優美で柔らかな弱音から快活な終楽章まで、多彩に聴かせて会場を沸かせ、聴衆賞を受賞した。

 次回の開催は、2025年を予定している。

取材協力・写真提供:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール

第4回Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール
https://skipc.jp