ローレンス・レネス(指揮) 東京都交響楽団

今昔の傑作を名手のヴィオラで味わう

 9月の東京都交響楽団主催の4公演がおもしろい。演目は各回すべて異なるが、2回ずつ同じ指揮者とソリストの組み合わせで行われるのである。3日・A定期と8日・B定期はサッシャ・ゲッツェル指揮、ネマニャ・ラドゥロヴィチのヴァイオリン。さらに注目すべきは18日・プロムナードと23日・C定期。指揮はスウェーデン王立歌劇場音楽監督など各地で要職を務めた名匠ローレンス・レネス、ソリストはヴィオラの世界的巨匠タベア・ツィンマーマン。

 両日の協奏曲は、古典と現代の好対照な2作。18日はモーツァルトのクラリネット協奏曲のヴィオラ版。音域等近い特徴があるクラリネットの楽曲をヴィオラで弾く機会は少なくないものの、この超名曲を最高のヴィオリストで聴けるのはやはり貴重で、新しい魅力を味わえそう。23日は現代イギリスのサリー・ビーミッシュのヴィオラ協奏曲第2番「船乗り」(日本初演)。タベアに捧げられた2001年の作品で、ヴィオラ奏者でもある作曲者が楽器の幅広い表現力を遺憾なく引き出した、現代の注目作だ。本作は21年に同じ出演者で上演予定だったが実現せず、今回は2年越しの待望の機会となる。

 各公演の後半は、18日がプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」抜粋、23日がラフマニノフ交響曲第2番。都響3度目の登場となるレネスは、21年には「都響を振れるなら」と1公演のために2週間の隔離を受け入れたほどの結びつき。今回も「大切な作曲家」と語るプロコフィエフとラフマニノフの大作で、明晰かつ心のこもる演奏を存分に聴かせる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年8月号より)

プロムナードコンサート No.404
2023.9/18(月・祝)14:00 サントリーホール
第982回 定期演奏会Cシリーズ
2023.9/23(土・祝)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057 
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