東京芸術劇場 パイプオルガンコンサートVol.24 〜オルガニスト就任記念〜

新ホールオルガニストが3つの様式で奏でる荘厳な響き

左:徳岡めぐみ 右:ジャン=フィリップ・メルカールト (c)K.Miura

 東京芸術劇場ではこの春より、徳岡めぐみとジャン=フィリップ・メルカールトがオルガニストに就任した。徳岡は東京藝大でオルガンを学んだのち、ドイツで研鑽を積んだ。メルカールトはパリ音楽院や祖国ベルギーの音楽院でオルガンを専攻した。ともに欧州のコンクールで数々の受賞歴を持ち、国内外の教会や教育機関で活動を展開。互いに高め合うパートナーである2人は、2007年からは拠点を日本に置き、東京芸術劇場のオルガンコンサートにもたびたび出演してきた。今後はホールのオルガニストとして、いっそう楽器の魅力を聴衆に伝える役割を担う。その第一歩ともなる就任記念コンサートが6月22日に開かれる。

 東京芸術劇場のコンサートホールのパイプオルガンは、ルネサンスとバロック、そしてモダンという3つの様式を持ち、回転させることでそれぞれが姿を現すという、世界でも類を見ない巨大な楽器だ。その持ち味を存分に生かした、聴きごたえのあるプログラムが用意されている。スウェーリンク、ブルーンス、J.S.バッハのバロック作品はもちろん、近代のトゥルヌミールやレーガー、そして現代ベルギーのB.メルニエによる作品など、バラエティ豊かなレパートリーが並ぶ。またメルカールトが編曲したバッハのブランデンブルク協奏曲第2番、そしてドビュッシーの「夜想曲」より「祭」の連弾にも注目だ。新オルガニストを祝福する公演に、ぜひ足を運びたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2023年6月号より)

2023.6/22(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
https://www.geigeki.jp