百花繚乱のロマン派楽曲を端正なピアニズムで
ウクライナ出身のアレクセイ・グリニュークは、13歳にして全ソビエト セルゲイ・ディアギレフコンクールで優勝を果たしたピアニストである。英国王立音楽院で研鑽を積み、キエフ・ホロヴィッツ国際コンクールおよび上海国際ピアノコンクールでも優勝。現在はヨーロッパを中心に演奏活動を展開する彼が、今回卓越した技術と豊かな歌心を発揮して演奏するのは、鍵盤音楽史においてもっとも激動の時代となったロマン派の変遷を追うことができるプログラムだ。
シューベルトの最後のソナタである第21番、4つの即興曲 op.90は古典派からロマン派への移行を実感させ、メンデルスゾーンの「厳格な変奏曲」は形式美と色彩豊かなハーモニーの融合を、さらにリストのハンガリー狂詩曲第9番では華麗なる技巧と劇的な表現を味わうことができる。魅力的なプログラムで、今注目のピアニストの演奏を堪能してほしい。なお、今回の公演の売り上げの一部はウクライナ大使館を通じて、同国の子どもたちを支援するために寄付される。
文：長井進之介
（ぶらあぼ2023年6月号より）
2023.6/14（水）19：00 Hakuju Hall
問：ビーフラット・ミュージックプロデュース 03-6908-8977
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