写真・取材・文：編集部
昨日に続く4 Conductorsリハーサルレポートの第2弾。明日の本番に向けた最終リハーサル。今日も藤岡幸夫、山田和樹、鈴木優人、原田慶太楼という日本のクラシック界をリードする多忙な4人が集まった。これまでスコアで見てきた作品を実際に演奏してみての印象やこのプロジェクトについて4人に話を聞いた。
まず今日のリハーサルの一番手、原田慶太楼。
「実際に音を出してみて、基本的にイメージ通りの印象でした。でもこうした方がこの曲にあうなぁと思っていたこともあって、それを実際にやってみたら最終的に作曲家も納得してくれました。昨日しっかり練習したので今日はあまりやりすぎないように。この曲に関していえば、あまりやりすぎるとときめき感やエネルギー、テンションがなくなってしまうからバランスを見ながら調整しました。
あと他の人のリハーサルを見るのはすごくインスピレーションをもらえます。気づくところが一緒だなとか。和樹も僕のリハーサルが終わった後に『その言葉使ってもいい？』という話をしたり。逆に僕も和樹が話していたことをメモしたりとか。とても楽しいです。音楽家にとっては常に自分の芸術を高めることが一番大事なことですから」
続いて山田和樹。
「僕はこの作品に一目惚れでした。とにかくスコアが綺麗。ページごとにキャラクターが明確なんです。構成がしっかりしているのが譜面だけでわかったし、こういう譜面は音楽的にも絶対素晴らしいというのは経験値でわかるんです。なので、音を出してみてもイメージと全く変わらないです。2楽章もとても美しいし、安江さん（ソプラノ）の声とも合っています。
他の3人を見ていてボキャブラリーも違うしやり方も違うし勉強になります。それを消化して、いつか自分の中で活かせるようにしたいですね。
そしてこのプロジェクトのいいところは時間をかけられること。新しい作品に2日かけて丁寧に作るなんて普通できないです。4人それぞれ自分のキャラ出さなきゃって思うから一生懸命やるでしょう（笑）オーケストラも素晴らしいし準備万端です」
すべてのリハーサルを終えたところで、藤岡と鈴木に話を聞いた。
藤岡 スコアで見ていたときと比べて、実際に音を出してみて随分印象は変わりましたね。なるほどなと思ったり、新たに素晴らしい！と思うところがあったり。
鈴木 やはり楽譜で見ているだけではわからないところはありましたね。 自分のアナリーゼを作曲家に直接確かめられるのも嬉しいです。
藤岡 すべての曲を生で聴いて改めて「いい曲だなぁ」と思った！
鈴木 僕もそう思いました。ある意味、贅沢な遊びで「この曲、音になったらいいよね」って思っていた作品を、作曲家や僕ら指揮者、そしてオケの皆さんが一緒になって作っていくというのが最高に楽しいです。
藤岡 全くしがらみ無しに、すべてわれわれ自身が「いい！」と思った曲だからね。
鈴木 リハーサルも本番のために仕上げるっていう意識もあるんですけど、どちらかというと明日も舞台上で楽しんでいるというか（笑）
藤岡 やはり知ってる曲をリハーサルするんじゃなくて、みんなそれぞれ新しい曲をやっていて、それが変わっていくところが面白い。今回をきっかけに新しい曲に興味を持ってもらえるようになってほしい。これがこの4人に共通する想いなんです。
と、同じ願いを持ちつつも、三者三様ならぬ四者四様のコメントが興味深い。
2日間を通して会場には、作曲家、指揮者、そして今回のオーケストラでコンサートマスターを務める東京シティ・フィルの戸澤哲夫も加わり話し合っている光景が常にあった。特に指揮者4人は自分のリハーサルではない時も互いに近くに席をとり、真剣な表情でスコアを見ながらずっと意見交換をしていた。
公演に向けて極めて密度の濃い時間を過ごしてきている今回の出演者、作曲家たち。いよいよ明日は本番。未知なるエネルギーの放出を、その現場で体感してほしい！
「ニュークラシックプロジェクト」受賞記念コンサート
New Classic by 4 Conductors
2023.5/15（月）19：00 東京オペラシティ コンサートホール
出演／藤岡幸夫、山田和樹、鈴木優人、原田慶太楼（以上指揮）、安江陽奈子（ソプラノ）
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、愛知室内オーケストラ
曲目／城代悠子：IKUSA
山田竜雅：「祈り」〜⼥声と管弦楽のための〜
松井琉成：交響詩「うつしがたり〈翠〉」
萩森英明：東京夜想曲
問：ジャパン･アーツぴあ0570-00-1212
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