【SACD】エルガー:交響曲第2番/大友直人&東響

 エルガーのオラトリオ作品の日本初演など、積極的に同作曲家に取り組んでいる大友直人による交響曲第2番。第1番ほど人気はないが、エルガー通の間では最高傑作といわれる。大友と東響は、冒頭から弦と管のバランスがよく、それぞれの高い力量を見事に融合している。再現部の細かい装飾の表情づけもデリケートだ。緩徐楽章の葬送行進曲でも、痛ましい想いと優しく高貴な精霊の歌が交錯する。ロンドのリズムの切れ味、フィナーレの温かな歩みと精霊の歌の印象的な回帰など、聴きどころ満載。この大作を鑑賞する醍醐味を堪能させてくれる。素晴らしく感動的なエルガーだ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年6月号より)

【information】
SACD『エルガー:交響曲第2番/大友直人&東響』

エルガー:交響曲第2番

大友直人(指揮)
東京交響楽団

収録:2023年1月、ミューザ川崎シンフォニーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00811 ¥3520(税込)