セゴビアの依頼で書かれたポンセの表題作は、イベリア半島に伝わる舞曲フォリアの主題を20回変奏し、そのあとにフーガを続けるというもの。それぞれの変奏をミニアチュアのように精巧に組み立てながら最後でばっちりと締める構成力に、大ベテランの経験が光る。後半はアルベニスやサティなど、20世紀前半に活躍した南欧やフランスの作曲家の作品を集めた。そこにはスペイン趣味とも言うべき南国やエキゾティックなものへの憧れが通底する。「情熱と印象」という副題もそんな時代の雰囲気を言い当てているのだ。からっと爽やかで、しかしどこかノスタルジックな旋律が紡ぎだされていく。
文：江藤光紀
（ぶらあぼ2023年6月号より）
【information】
CD『ポンセ：スペインのフォリアによる20の変奏曲とフーガ 〜情熱と印象〜／福田進一』
ポンセ：スペインのフォリアによる20の変奏曲とフーガ／アルベニス（J.ウィリアムス編）：コルドバ／サティ：グノシエンヌ第1番（R.ディアンス編）、ジムノペディ第1番（F.クレンジャンス編）／アセンシオ：内なる想い／グラナドス（福田進一編）：スペイン舞曲第2番「オリエンタル」／イベール：ギターのためのアリエッタ
福田進一（ギター）
マイスター・ミュージック
MM-4517 ￥3300（税込）