好評を博したベートーヴェン・ ツィクルス再び!
矢部達哉率いる「晴れオケ」ことトリトン晴れた海のオーケストラ。指揮者なしのオーケストラとして、2018年から21年にかけて全5回にわたって行ったベートーヴェン交響曲全曲演奏会は大きな話題を呼んだ。とりわけ21年の「第九」はNHKで放送され、CDもリリースされたこともあって、多くの人々に聴かれることになった。指揮者なしであっても、これほどはっきりしたビジョンと意志に貫かれた「顔のある」ベートーヴェンを生み出すことができるとは。そんな驚きを感じた人が多かったのではないだろうか。
その「晴れオケ」のベートーヴェンがふたたび始まろうとしている。10月21日の交響曲第1番を皮切りに、来年1月14日には交響曲第2番が演奏される。2027年のベートーヴェン没後200年の記念イヤーに向けて、交響曲全曲ツィクルスの2巡目がスタートするのだ。
最初のツィクルスでは交響曲のみが集中的に演奏されていたが、2巡目では協奏曲なども演奏される。交響曲第1番と組み合わされるのは「コリオラン」序曲と、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲。ヴァイオリン独奏を矢部達哉、ヴィオラ独奏を篠﨑友美が務める。一方、交響曲第2番と組み合わされるのは、同じベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番。横山幸雄が独奏を務める。実は「晴れオケ」誕生2年目にも同じ独奏者でベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会を行っており、これが最初のベートーヴェン交響曲ツィクルスの原動力になったという経緯がある。
異例の2巡目を迎えるベートーヴェン。はたしてどんな音楽が生まれてくるのだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年5月号より)
【第13回】2023.10/21(土)
【第14回】2024.1/14(日)
各日14:00 第一生命ホール
2023.5/23(火)発売
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net