ウィーン・ヴィルトゥオーゼン(室内楽アンサンブル)

室内楽版“ウィーン・フィル”の美技


 “音楽の街の伝統を、そして、響きを体現する存在”と言い切っていいかもしれない。世界的に名を轟かせるクラリネットの名手で、ウィーン・フィルの首席奏者であるエルンスト・オッテンザマーを中心として、ウィーン・フィルの各セクションの中心メンバーによって、1995年に結成されたウィーン・ヴィルトゥオーゼン。伝統のスタイルと個々人の高い技巧に根差した独特の響きを紡ぎ上げ、世界中の聴衆を魅了している。
 ウィーン・ヴィルトゥオーゼンは、弦楽四重奏にコントラバス、木管五重奏を加えた、10人編成が基本。時に室内楽、時に八重奏と変幻自在に編成を変えつつ、古典からロマン派、そして現代に至る幅広い時代の作品、交響曲や協奏曲まで柔軟に対応してゆく。何よりも、親密で温かい響きと絶妙のアンサンブルは、普段から名門オーケストラの同僚として苦楽を共にして気心も知れている彼らにしか、創り出せないものだと言えよう。
 5年ぶりとなる、待望の来日公演。まずは、モーツァルトの《フィガロの結婚》序曲や協奏交響曲を。そして、ブラームスの「ハンガリー舞曲集」からの数曲、19世紀のクラリネットの名手ルイジ・バッシがヴェルディ《リゴレット》を編曲した幻想曲を披露する。さらに、R.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」やビゼー《カルメン》からの名旋律、シュトラウス2世のワルツやポルカなど盛りだくさん。極上の豊潤なワインのような音楽に、しばし酔いしれたい。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)

11/6(木)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp

他公演
11/1(土)はつかいち文化ホールさくらぴあ
11/2(日)多治見市文化会館
11/3(月・祝)岡山シンフォニーホール
11/5(水)ハーモニーホールふくい
11/8(土)吹田市文化会館メイシアター
11/9(日)北上市文化交流センターさくらホール
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