クリストフ・エッシェンバッハ(指揮) ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団

円熟の巨匠とドイツ名門オーケストラのコンビが待望の来日

 エッシェンバッハも83歳になった。抒情性豊かなピアニストとしてキャリアをスタート。指揮者に転向したあとは、欧米トップクラスのオーケストラのポストを歴任、2019年からはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者に就いている。

 ベルリン・コンツェルトハウス管は、冷戦時代にベルリン・フィルに対抗すべく東ドイツ政府が鳴り物入りで創設したオーケストラだった。東ドイツ時代はザンデルリンク、近年ではインバルやツァグロゼク、イヴァン・フィッシャーなどの指揮者のもとで数々の名演を成し遂げてきた。重厚な響きと卓抜な機能性を両立させた、ベルリンらしいオーケストラだ。

 彼らが今回の来日公演で披露するのは、ブラームス・チクルス。首都圏での3公演で、交響曲全4曲を演奏する。壮年期からすでに円熟した音楽に定評があったエッシェンバッハが、名門オーケストラとの共演で、さらに洗練を極めたブラームスを聴かせてくれること、間違いない。

 協奏曲に、実力派ソリストを迎えるのもうれしい。2019年ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝に輝いた若手チェロ奏者の佐藤晴真(ドヴォルザーク、5/9)。そして、昨年デビューから40周年を迎え、その研ぎ澄まされた感性で世界を驚かせてきたヴァイオリンの五嶋みどり(シューマン、5/11)だ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年4月号より)

2023.5/9(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
5/10(水)19:00 横浜みなとみらいホール 
5/11(木)19:00 サントリーホール
問:AMATI 03-3560-3010 
https://www.amati-tokyo.com
※公演によりプログラムは異なります。