中野りな(ヴァイオリン)

史上最年少優勝を経てさらなる飛躍を目指す注目の18歳

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 第8回仙台国際音楽コンクール(2022年開催)のヴァイオリン部門で史上最年少となる17歳で優勝を果たした中野りなが、6月に東京と仙台でリサイタル(ピアノ:小井土文哉)を開く。彼女に抱負を聞いた。

 「私にとっては初めての本格的なリサイタルとなります。仙台国際音楽コンクールで演奏した作曲家たちに重なるような部分を意識して、作品を選びました」と、まず選曲について語ってくれた。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305から始まり、プーランクのヴァイオリン・ソナタ、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番、そしてR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタという古典派から20世紀にわたる幅広い時代を取り上げる。

 「モーツァルトはコンクールの課題曲としてヴァイオリン協奏曲 イ長調 K.219を演奏したのですが、その時に審査委員の先生たちから様々なアドバイスを受けることができました。それをソナタの演奏にも活かしたいと思います。モーツァルトがマンハイムからパリへ向かった時期に書かれたこのソナタは大好きな作品のひとつです」

 イザイは第6番の無伴奏ソナタをコンクールで演奏した。

 「イザイの無伴奏曲も好きな作品ですが、その中から第5番を取り上げます。実はYouTubeでカヴァコスさんの動画を発見して、その演奏が素晴らしかったので、自分もリサイタルで演奏したいと思っていました」

 そして20世紀のプーランク、19世紀末のR.シュトラウスのソナタも興味深い。

 「仙台国際音楽コンクールではファイナルでバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番を演奏したので、それに近い時期の作品からプーランクを、そしてシュトラウス唯一のヴァイオリン・ソナタを選びました。シュトラウスの作品は作曲家の初期のものですが、管弦楽やオペラで花開くシュトラウスの華やかなイメージをすでに感じさせてくれる作品で、最近では若いヴァイオリニストもよく取り上げていますね」

 そして、「忙しくなりつつありますが、週2回は子ども時代から続けているバレエのレッスンに通っています」。

 リズム感を養うだけでなく、ヴァイオリニストにとって必要な柔軟さを養うのにも大切なことだと彼女は語る。彼女のコンクール時の演奏はすでにCDとして発売されているが、コンクールを聴きに行けなかったという方は、ぜひ成長し続ける彼女の姿をリサイタルで確認してほしい。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年3月号より)

第8回仙台国際音楽コンクール優勝記念 中野りな ヴァイオリンリサイタル
【東京公演】

2023.6/15(木)19:00 浜離宮朝日ホール
【仙台公演】
6/18(日)14:00 日立システムズホール仙台 コンサートホール
問:仙台市市民文化事業団音楽振興課022-727-1872 
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