東京文化会館 《響の森》 Vol.52 ベートーヴェン&チャイコフスキー

名匠のタクトと期待の俊英による名曲プロ

 東京文化会館の《響の森》Vol.52は「ベートーヴェン&チャイコフスキー」の組み合わせで、名曲を聴く醍醐味を伝える。出演は若手ピアニストの小林海都と広上淳一指揮、東京都交響楽団。ベートーヴェンの「エグモント」序曲、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」という傑作中の傑作がずらりと並ぶプログラムが用意された。

 小林は2021年にリーズ国際ピアノコンクールで第2位を受賞して大きな注目を集める俊英だ。同コンクールのファイナルでマンゼ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルとともにバルトークのピアノ協奏曲第3番を演奏した様子は、インターネットを通じて動画配信されたので、ご覧になった方もいるかもしれない。第11回東京音楽コンクールピアノ部門第2位など多くの受賞歴を誇る。エリザベート王妃音楽院に学んだ後、バーゼル音楽院にてクラウディオ・マルティネス・メーナーに師事。また、マリア・ジョアン・ピリスの若手音楽家育成プロジェクトの一員として各地で演奏活動を行った。今回はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番で、切れ味鋭い技巧と豊かな詩情を披露してくれることだろう。

 日本を代表する名指揮者、広上と都響のコンビにも期待が高まる。ベートーヴェンを得意とするマエストロのこと、「これぞ本格派のベートーヴェン!」という雄大で力強いドラマを堪能させてくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年3月号より)

2023.5/1(月)19:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
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