選り抜きの俊英たちの“今”を一挙に堪能!
3月の「未来の音 ガラ・コンサート」は、いま最も勢いのある俊英ソリストの演奏をまとめて堪能できるビッグチャンスだ。「未来の音」は、めぐろパーシモンホールで2007年から行われている若手演奏家のリサイタルシリーズ。同ホールの開館20周年と目黒区制施行90周年を記念して開催される本公演では、過去の出演者3名が、角田鋼亮指揮、読売日本交響楽団と共演する。
出演者はまずヴァイオリンの周防亮介。16年ヴィエニャフスキ国際をはじめ数々のコンクールで良績を残した後、着実に成長を遂げており、艶やかな美音で歌心やドラマ性に富んだ音楽を聴かせる。曲はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。これは周防の特徴がフルに生きる作品だ。次いでチェロの上野通明。21年ジュネーヴ国際コンクール優勝で脚光を浴びた彼は、堅牢な技巧を持つ上に、スケール感や表情の幅をグングンと広げている。曲はドヴォルザークのチェロ協奏曲。上野も再三名演を聴かせている説明要らずの名作だ。そしてピアノの岡田奏。13年プーランク国際コンクール等で実績をあげた彼女も、内外で活躍し、瑞々しく生き生きとした演奏でファンを増やしている。曲はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。この名曲もまた岡田が冴えた技巧と雄弁な表現力を発揮するに相応しい。
ソリストは人気抜群の実力者、演目は各楽器の代表作ばかり。期待の俊才・角田の指揮、ゴージャスなサウンドで魅せる読響のバックも心強いし、それだけでも聴く楽しみがある。ソリスト、オーケストラ、曲目と3拍子揃った本公演は、文句なしに要注目だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年3月号より)
2023.3/4(土)15:00 めぐろパーシモンホール (完売)
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp