話題の個性派ピアニスト二人がみせる化学反応
*「アレクサンダー・ガジェヴ & 三浦謙司 ピアノデュオ・リサイタル」は、アレクサンダー・ガジェヴが体調を崩し、医師より8月末までの療養が必要との診断がおりたため、公演中止となりました。(3/16主催者発表)
幾つものコンクール入賞に加え、2021年にはシドニー国際で優勝して間もなくショパン国際で第2位に入賞したアレクサンダー・ガジェヴ。しかもシドニー国際の本審査とショパン国際の予備予選の時期は重なっていたのだから、ガジェヴのエネルギーと集中力には感心するばかり。魅惑のパワーと知的な解釈のガジェヴに対し、柔軟な技巧と絵画のような抒情性を持った音楽の三浦謙司。三浦は19年のロン=ティボー=クレスパン国際での優勝を機に、その名が知れ渡ることとなったが、実力は以前から折り紙付き。この個性がまったく異なる旬な二人が、なんと日本で共演する。6月の紀尾井ホール、題して「East meets West」。
音楽という共通言語を持った、西洋人のガジェヴと東洋人の三浦。国籍や人種の括りすら無用で、多様性を地で行く。二人の音楽での化学反応を想像しただけでもワクワクするではないか。連弾で幕開けだろうか。予定されているシューマン「東洋の絵」をどのような音色で奏でるのだろう。リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」、チャイコフスキー「くるみ割り人形」、ストラヴィンスキー「火の鳥」は2台ピアノなので、二人が創り出す何層にもなった音色からの、絢爛たる絵巻物語を楽しみたい。
ちなみに彼らはベルリンのハンス・アイスラー音楽大学の同窓生。合わせの練習のときにはどんな話をしているのだろう。そんなことも(勝手に?)想像しながら聴くのも楽しいかも。
文:上田弘子
(ぶらあぼ2023年3月号より)
2023.6/14(水)19:00 紀尾井ホール【公演中止】
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp