ブリュノ・ドルプレール(チェロ)

ベルリン・フィルの若き首席奏者が日本初リサイタル

 2013年からベルリン・フィルのチェロ・トップの席に座る、フランス出身のブリュノ・ドルプレール。1989年生まれ、パリ国立高等音楽院とベルリン芸術大学に学び、複数の国際コンクールで優勝、わずか24歳の年にベルリン・フィルの第1ソロ・チェリストに抜擢された。そんな世界屈指の俊英が、日本での初リサイタルを3月に開催する。待望の機会を前に、意気込みを語った。

 「初めて日本に行ったのはベルリン・フィルのツアーで、本当に素晴らしい経験でした。『12人のチェリスト』日本公演でも皆様が熱心に聴いてくださるのが伝わってきて、こんなにも音楽を愛する方々がいるのだと実感できました。一人の音楽家として本当に幸せなことです。今回はリサイタル、しかも友人のナタナエル・グーアンと共演できることをとても嬉しく思います。豊かで深い響きを持つ素晴らしいピアニストですし、一緒に音楽を創り上げる喜びもひとしおです」

 今回の演目はシューベルトのアルペジョーネ・ソナタ、プーランクとショパンのチェロ・ソナタ。この3曲の組み合わせは意外性があって目を惹く。

 「3つのソナタをグーアンとともに再発見していくことにワクワクしています。『アルペジョーネ』には詩的な美しさがあり、大好きな作品です。もともとチェロのための曲ではないのでテクニック的に難しい面がありますが、音楽そのものは心の琴線に触れる深い内容です。
 そして私たちはフランス人なので、フランス音楽をぜひお届けしたいと思い、プーランクのソナタを。パリジャンの作曲家が残した作品の中でも傑作のひとつだと思います。遊び心に溢れ、アイロニーや軽さもありながら、緩徐楽章では暗く黙想的な音楽が現れます。ショパンのソナタも非常に詩的な作品で、これまでの2曲をよく引き立てます。情熱的で深いロマンティシズムに溢れ、ピアノが大きな役割を担って優位に立っているところが好きです。作品ごとのコントラストも、このプログラムの面白いところだと思います」

 多忙な演奏活動に加えて作曲も行うという彼は、「子どもの頃の夢だったベルリン・フィル、また室内楽やソロで演奏できることに、心から感謝しています。それぞれの活動は互いを豊かにしてくれますし、作曲活動は音楽芸術に新たな視点を与えてくれて、音楽解釈への理解も深まるのです」と、様々な側面を持つ大切さと充実感を強調する。多才な“音楽家”ブリュノ・ドルプレール。その本領を余すところなく示すリサイタル、大いに期待して待ちたい。
取材・文:林昌英
(ぶらあぼ2023年2月号より)

ブリュノ・ドルプレール(チェロ) & ナタナエル・グーアン(ピアノ)デュオ・リサイタル
2023.3/8(水)19:00 浜離宮朝日ホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
http://www.pacific-concert.co.jp

他公演 
2023.3/10(金) 大阪/ザ・フェニックスホール(06-6363-7999)

都響との共演 
3/5(日) 東京芸術劇場 コンサートホール(0570-056-057)