宮田大 Dai-versity 第1回 文楽

多様な活動を展開するチェリストの新シリーズ始動!

 日本を代表するチェリスト・宮田大が第一生命ホール(東京・晴海)で新しいシリーズを始める。題して「宮田大 Dai-versity(ダイバーシティ)」である。いわゆるクラシック音楽のメインストリームの作品だけでなく、ギタリスト・大萩康司との共演や人形劇俳優・平常の公演への参加など、これまでも様々な作品の演奏を展開してきた宮田だが、この第一生命ホールの新シリーズでは、さらに新しい、そして多彩な宮田の顔が見られることになるだろう。

 その第1回は「文楽」と題され、文楽人形遣いの桐竹勘十郎、箏のLEOと共演する。演奏曲目は、宮田とLEOによる宮城道雄「春の海」、吉松隆「双魚譜」、そして今野玲央(LEO)のチェロと箏のための新曲。さらにコダーイの無伴奏チェロ・ソナタが加わり、戦後日本を代表する作曲家である黛敏郎の無伴奏チェロのための「BUNRAKU」では以前から共演を重ねている宮田と勘十郎が再び相まみえる。新作も含めた意欲的なプログラムであり、またそれぞれに工夫が凝らされている点も魅力的だ。特に「BUNRAKU」は義太夫節の旋律を彷彿とさせる黛の代表的作品でもあり、海外のチェリストも取り上げているが、文楽界を代表する人間国宝・勘十郎の遣う人形と実際に共演するというのは、なかなかお目にかかれない。この機会を逃さないようにしたい。

 この公演に合わせて、音楽学者の徳丸吉彦による関連講座(1/14)も開催されるので、日本の音楽と海外の音楽の接点について興味のある方はぜひ参加してみてはいかがだろう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年1月号より)

2023.2/26(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net