中堅の域に入りつつある宮田大の最高の充実を示す、彼の代表盤となるであろう一枚。万全のテクニックを土台に、木の温もりと心のこもった音色で聴くラフマニノフの魅力的なこと!明快に構築しながら情感は豊か、各楽章の胸に迫るメロディで高まっていく場面の高揚感には唸らされるばかり。それも宮田が10年以上共演を重ねるジェルネの安定と輝きを誇るピアノがあってこそで、もともと「ピアノとチェロのためのソナタ」と題されていた本作の理想像ともいえる“協演”が実現したのである。カプースチンの3曲で見せる両者の切れ味とセンスも抜群で、特に「ブルレスク」は痛快!
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年12月号より)
【information】
CD『ラフマニノフ:チェロ・ソナタ/宮田大』
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調、「パガニーニの主題による狂詩曲」より〈第18変奏〉(ジュリアン・ジェルネ/宮田大編)/カプースチン:ニアリー・ワルツ、エレジー、ブルレスク
宮田大(チェロ)
ジュリアン・ジェルネ(ピアノ)
日本コロムビア
COCQ-85594 ¥3300(税込)