共鳴し合う“古典”と“前衛”
新日本フィルのコンダクター・イン・レジデンスに就任して以来、次々と刮目すべきプログラムを打ち出しているインゴ・メッツマッハー。なかでも昨シーズンから続くベルント・アロイス・ツィンマーマンとベートーヴェンの作品を組み合わせたシリーズは、メッツマッハーの面目躍如といったところ。現代作品と古典作品のセットからテーマ性を透かして見せる一連のプログラムは大きな話題を呼んでいる。
この秋、メッツマッハーと新日本フィルが用意したプログラムは2種類。9月には、ツィンマーマンの大オーケストラのためのプレリュード「フォトプトシス」と「ユビュ王の晩餐のための音楽」(本公演では津軽弁による語りが入る)に、ベートーヴェンの交響曲第7番が組み合わせられる。ツィンマーマン作品にはいずれも過去の名曲からの引用があるが(どちらもベートーヴェンの交響曲を含む)、特に「ユビュ王の晩餐のための音楽」は膨大な引用で埋め尽くされたコラージュの怪作である。これらツィンマーマン作品を起点にベートーヴェンを見つめ直すと、新たな風景が見えてくるかも。
10月3日と4日のトリフォニー・シリーズでは、ツィンマーマンの「静寂と反転」とベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」が演奏される。ともに作曲者晩年の境地が生み出した彼岸の音楽とでもいえるだろうか。
この指揮者でなければ決して体験できないコンサートになることはまちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)
第88回 多摩定期 9/28(日)15:00 パルテノン多摩
問:チケットパルテノン042-376-8181
#530 定期演奏会 サントリーホール・シリーズ
9/29(月)19:15 サントリーホール
#531 定期演奏会 トリフォニー・シリーズ
10/3(金)19:15、10/4(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp