神奈川フィルが2023-24シーズンラインナップを発表

大江馨がコンサートマスターに就任

　神奈川フィルハーモニー管弦楽団が10月27日、次シーズン（2023年4月〜2024年3月）のラインナップ発表記者会見を横浜市内で行い、音楽監督の沼尻竜典、同楽団理事長の上野孝、専務理事の櫻井龍一、音楽主幹の榊原徹が登壇した。
　会見では、新シーズンから大江馨がコンサートマスターに就任することもあわせて発表された。

　今年4月に音楽監督に就任し来シーズンで2季目を迎える沼尻は、「就任披露公演のブラームスとヘンツェのカップリングのように、王道プログラムも演奏するが、変化球も投げていきたい。神奈川フィルにはその力が備わってきているので、これからが楽しみ」と期待を語った。

　3シーズンぶりにすべての公演が横浜みなとみらいホールで行われる「みなとみらい定期演奏会」は、沼尻のタクトで幕をあける（2023.4/15）。ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」を取り上げることについて「近年の社会情勢のため、ショスタコーヴィチの作曲背景をよりリアルに感じるようになった。これまでとは違ったイメージの演奏になるのではないか」とコメント。沼尻はマーラーの交響曲第7番「夜の歌」とグリーグのピアノ協奏曲（ピアノ：ニュウニュウ）を披露する第392回定期（2024.2/17）、2009年度武満徹作曲賞で第2位の山本和智の委嘱新作やメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」を演奏する音楽堂シリーズ（2/10）他にも登場する。
　 みなとみらい定期演奏会では他にも、神奈川フィルが1995年に初演した一柳慧「交響曲第3番『交信』」（23.10/14）、アメリカで活躍した黒人女性作曲家フローレンス・プライスの「アメリカにおけるエチオピアの影」日本初演（11/18）など、話題性のある現代曲もラインナップされた。

　親しみやすい名曲を取り上げる「県民名曲シリーズ」は、全3公演、吹奏楽やミュージカルなどクラシックに限らず様々なジャンルで楽しめる公演がプログラムされた。
「音楽堂シリーズ」も全3公演。石田組組長としてもお馴染み首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚が弾き振りでストラヴィンスキー「プルチネルラ」、ベートーヴェンの交響曲第7番が披露される公演（7/8）など、古典から現代まで幅広いプログラムが用意された。

　同楽団は「みなとみらい定期演奏会」「県民名曲シリーズ」「音楽堂シリーズ」の三本柱に加えて、オペラに造詣が深い沼尻ならではの新しい企画「Dramatic Series」を新たに立ち上げる。徹底的に音とテキストを楽しんでもらいたいという期待が込められたオペラ企画で、R.シュトラウスの歌劇《サロメ》（6/24）が演奏会形式で上演される。これは京響、九響と共同で行われ、神奈川フィルの後、それぞれのオーケストラでも沼尻の指揮のもと上演される。

　コンサートマスターに就任することが発表された大江は、桐朋学園大学ソリストディプロマコースで研鑽を積むかたわら、慶應義塾大学法学部でも学び、卒業後はクロンベルクアカデミーを修了。これまでに2019年のアントン・ルービンシュタイン国際コンクール第2位など国内外のコンクールで入賞多数。大江自身、神奈川に居住経験があり、平成26年度には横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞するなど縁も深い。石田とともに、楽団の看板として活躍が期待される。

　会見の終わりに、2023年1月スタートの日本テレビ新水曜ドラマ『リバーサル・オーケストラ』に、オーケストラ及び演奏家役として同楽団のメンバーが出演することも発表された。出演する俳優には今年の夏から楽団員による演奏指導が始まっており、11月末から収録を開始するという。

2023-24シーズン ラインナップ
https://www.kanaphil.or.jp/news/783

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
https://www.kanaphil.or.jp

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