東京フィルハーモニー交響楽団 午後のコンサート

バラエティに富んだプログラムとトークを愉しむ昼下がり

 秋が深まる11月。ドヴォルザークの憂愁をたたえたメロディがいちだんと身に沁みる季節でもある。

 「オーケストラをもっと身近に」をモットーに開催される、東京フィルハーモニー交響楽団による「午後のコンサート」。今回は、「クリスタル・クラシック」と題し、ドヴォルザークをメインにした曲目をトークとともに届ける。

 ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」で華やかに幕を開ける前半は、日本を代表するソプラノ歌手、森麻季を迎えたプログラムだ。ドヴォルザークならではの美しい旋律で知られる〈わが母の教えたまいし歌〉を、その透明感ある美声で聴かせてくれるだろう。続けて歌われるのは、山田耕筰による国民的な歌曲〈赤とんぼ〉と〈この道〉。さらに、プッチーニの歌劇《ラ・ボエーム》より、ムゼッタのアリア〈私が街を歩けば〉も披露するという。そのバラエティに富んだ内容がうれしい。

 後半は、ドヴォルザークの交響曲第8番。ボヘミアの豊かな自然に根差したバイタリティあふれる交響曲だ。

 指揮は、吹奏楽やオペラ、バレエなど幅広い分野でマルチな才能を発揮する大井剛史。ドヴォルザークに憧れてプラハに留学した経験もあるという。彼の持ち味を十二分に生かしたダイナミックにしてエレガントなドヴォルザークが堪能できるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2022年11月号より)

第16回 渋谷の午後のコンサート
2022.11/24(木)14:00 Bunkamura オーチャードホール
第95回 休日の午後のコンサート
11/27(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp