カピュソンのすばらしいショーソン・アルバムであり、2022年に亡くなったアンゲリッシュの追悼盤ともなった。彼らが幾度も共演したという「コンセール」、ピアノは音の一つひとつは軽やかなのに密度は濃く、精妙な表現が美しい。ヴァイオリンの音色は芳醇、フレーズが滑らかに繋がり、歌い込みが深い。エベーヌQと共に、憂愁はたたえるがやはり重くはならず、残照の美しさ。理想のフランスのチームによる、最高のショーソンの記録。「ポエム」もオーケストラ共々、香り立つような音作りで、抑揚も豊か。どこまでも歌い続けるかのようなカピュソンのソロは感動的。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年6月号より)
【information】
SACD『ショーソン/ルノー・カピュソン』
ショーソン:ヴァイオリン ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール、詩曲(ポエム)
ルノー・カピュソン(ヴァイオリン)
ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)
エベーヌ弦楽四重奏団
ステファヌ・ドゥネーヴ(指揮)
ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団
ERATO/ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13890 ¥3410(税込)

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。


