日本フィル杉並公会堂シリーズ 山田和樹 コンチェルトシリーズ Vol.3

協奏曲の醍醐味と児童合唱の愉しさを


 山田和樹の肝いりプログラムで注目を集めている日本フィルの『コンチェルトシリーズ』も3回目。今回は2人の若手ソリストをゲストに迎えた協奏曲を2曲、そして合唱指揮に長けた山田ならではの楽しい作品が取り上げられる。
 19歳の山根一仁を迎えるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、ロシア=旧ソヴィエト系の作品に深く共感している彼が、自由で豊かな感情にあふれた演奏を披露してくれるはず。マリンバの俊英として名前が知られている出田りあは、なんと新作の世界初演。イスラエルの作曲家オハド・ベン=アリのマリンバ協奏曲は彼女が委嘱したものだが、5楽章形式の親しみやすい作風をもった作品とのこと。すでに評価を得ているチャイコフスキーの新鮮な演奏も、そして新しい作品が送り出される瞬間も味わえるとあって、このコンサートに対する期待度も上がるはずだ。
 さらには、作曲家としての再評価が期待される山本直純の組曲「えんそく」も。児童合唱が遠足の楽しさを歌うこの曲は、「サッちゃん」「ねこふんじゃった」などでも知られる阪田寛夫の詩に付曲。「歩く時のうた」「おべんとう」「山の上の合唱」など、タイトルだけでも楽しそうな全6曲で、「城跡」はNHKの『みんなのうた』でも放送された人気曲だ。聴きながら、聴衆も遠足に同行している気分を味わえるだろう。今回は杉並児童合唱団が歌うのも魅力。1964年の作品であるため今年は誕生50周年、という粋な選曲なのである。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)

9/21(日)15:00 杉並公会堂
問:杉並公会堂03-5347-4450
http://www.suginamikoukaidou.com